このトラブルは。レポート掲載後ルノージャポンよりリコールが発表されメーカーによって対策が施されました。
リコール該当車両については、ベルトプーリーやそれに関連する部品を対策品に交換する。という内容でした。


補機ベルト(オルタネーター・パワステポンプ・クーラーコンプレッサーを駆動するベルト)が、ずれる。

RSに限らず最近のルノー車の補機ベルトを駆動するクランクシャフトのプーリーはこのような形状をしています。
(写真左はルーテシア2・16v。フロント右インナーフェンダーをめくったところ。右図は車両前方から見たイラスト。)

補機ベルトはいくつかのプーリーに掛かっていますがクランクシャフトのプーリーはその中の一番下に位置しています。
このクランクシャフトプーリーは外れ止めのガイドが、何故かは知らねど片側にしかついていないのであります。

ですから特にエンジン始動時など、急激なトルク変動がベルトに伝わった場合、溝から外れてエンジン側にずれることがあります。
RSの場合プーリーとタイミングベルトカバー(図の青い部分)との隙間が狭いため、一溝ずれるだけでも接触してしまうのです。


・接触したらどうなるでしょうか?
現実にこの症状が起こった瞬間に居合わせたことがありますが、エンジンの回転にあわせ規則的に不規則な異音が発生します。

・そのままの状態で走行していたらどうなるでしょうか?
接触しているタイミングベルトカバーを削り取っていきます。
さらにそのまま放置すると今度はその中のタイミングベルトそのものまで削り、最終的にはタイミングベルトを損傷・破断させてしまいます。

接触が始まってから何キロ何十キロ何百キロでそこまで症状が進行するかは全くわかりません。
ですからこの症状が起きたら早急に補機ベルトのズレをなおしてやる必要があります。

方法は
1・ステアリングを右いっぱいに切って右前輪のインナーフェンダーに手が届くような状態にする。
2・エンジンを停止し右前輪のインナーフェンダーをめくる。クランクプーリーが見えます。
3・補機ベルトがプーリー前方から下側へ向かうあたりをタイヤレバーや分厚い手袋をした手などで(先でベルトやプーリーを傷付けないように)補機ベルトを手前側へこじりながらクランクプーリー中心のボルトに18mmレンチをかけてプーリーを時計回りに回しズレを戻してやります。
自転車の変速機と似たような方法です。

ただし、自分でこの作業を行うのはあまり現実的ではありません。
一度自分でやってみましたが・・・・。やはりお勧めできません。
地面に寝転がってタイヤとフェンダーの隙間に両腕を突っ込んでギリギリ届く位置にこのプーリーとベルトがあるため路上での作業は非常に困難です。
リフトアップして作業するのが一番安全かつ確実です。
ということで、このトラブルが出たらすぐにディーラーかルノーコールへ電話!をお勧めします。
ちなみに、補機ベルトのテンション(張り具合)をもっと強くしてやればいいだけじゃないのかなあ?と最初は思いましたが。
しかし、あまり強いテンションをかけると特にウォーターポンプが早く壊れてしまいます。
ウォーターポンプはシャフトに首振り方向の力がかかりすぎるとシールの寿命が短くなり、寿命が近付けば当然水漏れが起きます。
走行約30000kmですでにウォーターポンプから水漏れが始まっているRSもあるくらいデリケートなポンプですので。。。
ということで、根本的な解決策としては両側に外れ止めのあるプーリーを一日も早くルノーがリリースしてくれることを祈るのみです。
さあ、皆さんご一緒に合掌〜〜〜〜〜〜。

追記。
ディーラーのメカニックさんのお話によると、メガーヌや他のルノー車でもこのプーリーからベルトがずれる症状は時々見られるそうですがタイミングベルトカバーとの隙間がRSよりも広いため接触までには至らないそうです。

<RSのエンジンの写真>('02.08.追加) 写真提供:ルノー京都CADONOさん

 

問題の部分のクローズアップ写真です。
タイミングベルトカバーが外された状態で撮影されたものなのでタイミングベルトそのものも見えています。。
ご覧の通り補機ベルトがかかっているプーリーとの隙間はホントにギリギリです。
片側にだけ外れ止めガイドのついたメインプーリーもよくわかりますね。

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